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【イベントレポート】MITメディアラボの石井裕教授による『未来競創: アート& サイエンス融合による独創的ビジョンを思い描ける人材育成のために』【1月30日開催】

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先日開催した講演会「MITメディアラボの石井裕教授による『未来競創: アート& サイエンス融合による独創的ビジョンを思い描ける人材育成のために』」のレポートを公開します。
講演会当日は100名を超える多くの方にご参加いただき、石井教授のエネルギーあふれる講演と参加者からの質問によって会場は熱く盛り上がりました。
今回のイベントは2018年11月28日に開催した石井教授の講演会を受け、その独創的なビジョンを思い描くことのできる人材を育成するためには何が必要か、その極意を知ること目指して開催いたしました。
当レポートでは石井教授のご講演からコソダテリノベが感じたこと・考えたことをまとめてまいります。
なお、石井教授の人生哲学については、前回2018年11月28日に開催した際のイベントレポート(http://www.kosodate-re.jp/column/2131.html)にて記載しております。合わせてお読みいただければ幸いです。

■石井教授のメンタルモデルと現代の日本の若者の特徴

前回イベントより、石井教授の人生哲学とそのメンタルモデルを図解してみた。

2200年に生き続けるVision を描き、挑戦を続ける上で、原体験や「三力」「三感」という力と感覚に支えられている。そして、「三創」という創造的であるための哲学をもって活動に取り組んでいる。
これに対して、現代の日本の若者の多くは教育や労働のシステムの中で、目の前の数字や目標、今やらなければならないことを追いかけるように写る。自分自身の「何が好きか」「どう思うか」といったことよりもテストや成績、ノルマに対して成果を出すことを優先することが求められてしまう。成功モデルを見ると、自分も同じようにと真似て頑張るものの、原体験やVision が明確でないため、つまずくと立ち戻る場所がわからず、憔悴してしまう傾向が見える。
この状態から脱却して独創的なVision を思い描き、実現していくためには何が必要なのだろうか。

■Visionary Life その原点は…

「未来への遺産(Vision)を創造し、2200年に生き続ける」有限である寿命を超え、未来に生きる挑戦こそ、石井教授の人生哲学といえる。その原点は「強い感情」にあるのではないか。
石井教授の原体験には、強い感情の揺れ動きがある。宮沢賢治の直筆原稿から激しく伝わる身体の痕跡、そろばんの機能的美しさ、わかりやすさへの敬意、多くの文人の言葉への震えるような感動。そして今は亡き両親の人生、そして死への尊敬と悲しみ。
こうした原体験とそこに付随する強い感情のひとつひとつが「tangible bits」や「radical atoms」などのVision や多くの発明につながっている。
このことから、自分自身の感じた感動や喜び、悲しみ、怒りといった強い感情の中に発明やVisionにつながる原石があるのではないだろうか。自らの感情がどこから来て、なぜそう感じるのか。自分自身の感情と向き合うこと、その意味を昇華させるための自己対話とアウトプットによって、原体験を内省化することができる。
加えて、感情を正しく発揮するためには、感情を押し殺してしまったり、曖昧にしたり、周りが半強制的に意味づけてしまうことは避けなければならないのではないだろうか。
コソダテリノベが取り組む幼児教育分野において「情緒の安定を図る」という項目がある。解釈によっては、泣いたりわめかない状態を情緒が安定していると捉えるかもしれない。しかし、泣きたいときはしっかり泣き、なぜ悲しいのか、なにが嫌なのか、そこから自力でどう立ち直るのか、といったことこそが大切なのではないだろうか。そのとき周りは泣いている姿や気持ちを受容し、安心感を与えることで思う存分感情と向き合える環境をつくることが望ましいように思う。
また、自分の感情を豊かに感じ、表現する上では「やばい」の一言で片付けてしまうのもまずい。嬉しいのか、悲しいのか、驚いているのか、インスタントに済まさず、流さず、向き合うことを大切にしたい。

 

■「三力」「三感」「三創」から学ぶ、人との関わり

石井教授の大切にする「三力」「三感」「三創」には必ず人が存在している。それは自分であり、他者である。
例えば、三力のひとつ「道程力」は道なき道を全力疾走することを意味している。ほかの2つと通じるのは「自分を信じる」という信念であり、ほかの人と異なることに怯えず、挑戦するというありかたである。一方で、三創のひとつ「協創」は個々が独創性を持ったチームを創り、ビジョンを共有共鳴しながら切磋琢磨を通して飛躍することを意味している。ここには他者が存在する。
石井教授の哲学の中から、「自分」そして「他者」との向き合い方を捉え直すと次のようなことが見えてくる。

○対自分
【自分を信じる】
未開の道を一人全速力で突き進む中で、絶対にできると信じ、打たれても迷っても挑戦し続ける信念を持つ。知的飢餓感を持ってチャンスとあれば飛びかかり、前掛かりに挑んでいく。
【自分を疑う】
自分の進む道が正しいのか、誰かに役立つことなのか、陳腐なアイデアではないか、穴はないか。自分を信じる一方で甘やかすことなく、時に自分を突き放して他者の視点で分析する。

○対他者
【リスペクトする】
対等な存在として、他者の言葉やアイデアに耳を貸し、寛容さや憧れを素直に持つ。そして本当の意味で鼓舞し高め合える友情と、尊敬し続けられる自分にとっての英雄を見つける。
【依存しない】
あくまでも対等なライバルとして、負けないという気持ちを持つ。また、言葉のままに受け取らず、建設的な批判「クリティカル・シンキング」を持って向かい合う。


講演会では、登るべき山(Vision)を築き、自ら最初に登頂を目指す石井教授のこれまでの人生を溢れんばかりのエネルギーで語っていただきました。その中からVision を抱き、生きていける人材育成のために必要なエッセンスを抽象化、解釈を加えてお届けしました。
現地での講演では、ここでは語りきれないほどのヒントや気づきをお話いただきました。
こうした講演などのイベントは今後も継続して開催してまいります。ぜひお楽しみに。
こうした活動がみなさんの教育や学びを考える一助に、そして子どもの未来を育むことにつながれば幸いです。

【Photo gallery】

参加者からの質問に熱心に聞き入る石井先生
講演会終了後にはいつも1時間以上の長蛇の列
刺さる質問をした方には直筆の「3力」
一緒に企画をした宮島妙さん
総合司会のコソダテリノベの空田

コラムニストプロフィール

植竹 康之

植竹 康之

東京都練馬区出身です。大学でアイデンティティー形成を学び、1年間デンマークへ留学。障がい者ヘルパーとして働きながら、学童保育でも活動していました。卒業後は広告制作会社に入社。結婚を機に住居探しをする中で、ライフプランや子育てのための環境を考えた家探しの重要性を感じ、コソダテリノベに参画しました。
10年、20年、その先と、自らも家族の一員として生活していくイメージを持って家探しのサポートをしていきます。

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