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年収だけでマイホームを決めてはいけない4つの理由

お金のことパートナーインタビューライフプラン

「年収」は、もちろんマイホーム購入予算の目安。

でも、ちょっと待って!

その物件の金額、今後の生活まできちんと考えて決めましたか?

年収だけで安易にマイホームを決めるのは、とても危険です。

その理由を、ファイナンシャルプランナーに聞きました。

年収500万円で5000万円のマンションは買える!?

 

マイホーム探し中のライター、SHIHOです。

今回は、「年収だけでマイホームを決めてはいけない理由」について、より具体的に、ライフプランの専門家集団フリーピース所属、不動産業界出身のファイナンシャルプランナー梶山さんにお話を伺います。

SHIHO:梶山さん、よろしくお願いいたします。ちょっと聞いてください。

先日、こんなことがあったんですよ。

————実は最近、週末になると、マンションのモデルルームをめぐるのが、家族でのお楽しみなんです。

梶山:モデルルームめぐりですか。お金もかからないし、マイホーム購入のいい勉強になるし、家族にとってもいいレジャーですね。

SHIHO:先日も、某湾岸マンションの現地モデルルームへ行ってきました!

梶山:現地モデルルームの良いところは、やっぱり眺めと日当りがわかるところですね。

まあ、売れ残りという見方もありますが、ものによっては、残り物には福がある場合もありますし。

SHIHO:あまり上階ではなかったんですが、海もちらりと見えて、なかなかいい雰囲気でした。さらに惹かれたのは、モデルルームで使用している家具がそのまま付いてくるんです。モノトーンで統一されたお洒落な家具、魅力でした。まあ、二人のドラ息子がいるわが家にはまったく合わない大人のインテリアですが、これはお得に感じちゃいますよね。

梶山:その物件は、いくらだったんですか?

SHIHO:もともとは6000万円で売り出されていたものだそうです。現地モデルルームになっているその部屋が、最後の一戸ということで、5500万円にまで値引きされていました。

500万円もお得! しかも家具付き!?って夫婦で盛り上がっちゃいましたよ。

そしたら、営業マンが、「お安いですよね。5500万円なら、かなり平均的な価格ですし、一般的なサラリーマンの方であれば、買える金額だと思いますよ」って言ったんです。

梶山:なるほど。

SHIHO:それで、私、「一般的なサラリーマンの年収って500万円前後ですよね。それでも買えるんですか?」って聞いたんです。

そしたら「大丈夫な人が多いですよ」って。

梶山:曖昧ですね(笑)。そして、かなり楽観的な営業トークだなあ。

SHIHO:やっぱり、そうですか。

梶山:売ることだけを考えていて、お客様の生活はまったく考えていないという感じですね。「現在の年収で、住宅ローンはいくら借りられる?」のコラムでもお話した通り、年収額で単純に計算する住宅ローンの借入額は、あまり参考にはなりません。

でも実際に、特に東京都内では、身の丈に合わない高額なマンションを、ごく一般的なサラリーマンが無理して買うということが、よくあります。

「通勤が楽」「新築タワーマンションのブランド力」などの理由と、こうした曖昧な営業トークについコロッといってしまうんでしょうね。

私は、無理な住宅ローンに苦しみ、結局マイホームを手放さざるを得なかったケースを、いくつも見ています。

SHIHO:単純に年収で見れば、買えないことはない。

でも、買ってはいけない。

その理由を、具体的に教えていただけますか?

梶山:はい。ぜひ参考にしてみてください。

 

理由1:ローンのほかにもかかる経費

「マイホームは年収の5倍」と、20年くらい前から言われています。

現在は住宅ローンの金利が低いので、「6.5倍くらいまで大丈夫」とか、「8倍まではいける」などと言われたりしているのですが、頭金の金額や今後の賃金の増減など人それぞれの条件を想定すると、一概に何倍がいいとは言いづらいのが正直なところ。ただ、長く続く住宅ローンと、長寿社会における老後の資金について考えるなら、5倍以上にはしないほうが安全だと言えると思います。

そして、意外と見落としがちなのが、物件の金額ではなく、家にまつわる経費。

マンションを購入すれば、以下のような経費がかかってきます。

  • 管理費 修繕積立金
  • 駐車場代
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 団体信用保険
  • 火災保険 地震保険 など

ざっとですが、平均的に5万円前後必要となる場合が多くあります。

住宅ローンの返済額に、これらが加わってくることを知らないと、かなりの負担になってしまいます。経費については、きちんとシミュレーションしておきましょう。

 

理由2:健康維持も、マイホーム購入の条件

年収×何倍、があまり意味をなさないのは、買う人が何歳かという条件が含められていないからです。

若ければ、住宅ローンの返済期間も長くとれますから、月々の返済額は少なくなります。年齢を重ねていれば、年収が高くても、返済期間が短いため、返済額は多くなり、家計を圧迫します。

そして何よりも、自分の健康に自信がなければ、住宅ローンを組むことは危険だと言えます。住宅ローンの審査基準には、返済能力のチェックがあります。年収、勤続年数はもちろん、健康状態についても良好であることを求められるのです。「団体信用生命保険」に加入出来るか否かが、住宅ローン審査のポイントでもあります。

「団体信用生命保険」とは、住宅ローンのための生命保険商品です。加入者が死亡、または高度障害に陥った場合などに、ローンの支払いを補填する役割を果たします。金融機関によっては、3大・7大疾病などの特約付きのものもあります。

では、持病や病歴があるだけで家が買えないのかといえば、もちろんそうではありません。健康状態を申告する項目には、三ヶ月以内の治療や投薬の有無、三年以内の手術や二週間以上の治療と投薬の有無、手足や視力等の機能障害などがあります。大切なことは、正確に、詳細に申告をすることです。治療が適切に行われ、仕事や生活にも支障がないことがわかれば大丈夫です。

一番問題になるのは、持病等があるのに、虚偽の申告をすること。虚偽がバレれば、保険は下りず、残された家族がピンチです。

こうした保険の問題もありますが、一番大切なのは、健康を維持しようという日頃からの心がけ。不摂生や暴飲暴食など、自分の体を労らない生活スタイルの人は、無計画になることが多く、月々住宅ローンを支払って行く長い人生を背負っていけなくなってしまいます。

マイホームを購入するときには、自分の健康チェックも忘れずに。生活スタイルの見直しも必須です。

 

理由3:夫婦合算での購入は危険!

共働きのご家庭が多い世の中です。

夫婦の給料を合算した世帯年収でのマイホームを考えれば、もちろん高い物件を購入するチャンスが広がりますね。

しかし、夫婦合算での購入は、なるべく避けた方が無難です。

たとえば20代から30代で結婚した夫婦なら、バリバリと働けて、気力も体力も十分。

子どもができたとしても、保育園へ預けて、働き続けるという選択をする人も多いでしょう。

しかし子育てには、想定もしていない、さまざまなことが起こります。

どうしても妻が(または夫が)仕事をやめて、子育てに専念しなければならないということもあります。これは、あくまでも子どもができてみなければわからないことですが、子どもの体が弱い、保育園に入ることができない、同僚が育児に対して理解がない、など……。

また、なかなか早くは子どもに恵まれず、不妊治療などにお金がかかることもあります。高齢出産後の育児で、体力の消耗を感じ、仕事を続けられないという女性も多くいます。

子どもだけの問題ではありません。

たとえば、どちらかがリストラに遭うということも、あり得ます。

片方が仕事をなくしたのに、ローンは二人分。負担は大きいでしょう。

もちろん、悲観的なことばかりを考えて、合算を避けたほうがいいと言っているわけでもありません。

 

夫だけの収入から住宅ローンを算出しておけば、妻の収入は貯金にまわすことができます。レジャー費や服飾費に使うこともできます。生活のゆとりをキープすることができるのです。また、「払い続けなければ」というストレスから仕事をやめる決心がつかないということもありません。

人生は長く続くもの。

できるだけリスクにならない方法をを考えながら、楽しく家族で暮らしていくためには、どちらか一人の年収から計算したマイホーム選びが無難です。

 

理由4:重視すべきは年収ではなくライフプラン

年収から、月々の住宅ローンと経費の支払いを考えて、よし、なんとかなるだろう、と思ったとしても、ちょっと待ってください。家計費はきちんと算出されていますか?

光熱費、食費などの最低限の生活費はもちろん、税金、レジャー費や子どもの習い事のお金まで、年間で出て行くお金のタイミングを確認しておきましょう。

そして、支払いプランは、あなたの家族の今後のライフプランをきちんと加味したものでしょうか?

まだ子どもがいない、または、幼いという場合。

自分が何歳になったとき、子どもは何歳で、教育費にいくらかかるのか。

そのとき、貯蓄はいくらになっているか。学資保険が下りるのはいつか。

子どもの教育費が終わった後にも、子どもの結婚式など、まとまった支出が必要になることもあります。

また、見落としがちなのが、自分の親はそのとき何歳か。

介護が必要になったとき、必要な経費はどうなるか。仕事は続けられるか。

こうした項目が一目でわかる人生のキャッシュフロー表を作って、住宅ローンの金額と照らし合わせてみましょう。無理のない金額、無理のない年齢で住宅ローンの支払いを終えられるのならば、そのマイホームの金額は初めて妥当であると言えるのです。

お金の使い方は、人それぞれ。

マイホーム購入を機に節約を心がけ、シンプルライフに舵を切って暮らしを楽しむもいるでしょう。一方、ライフプランを見通したとき、わが家にはこれは無理がある、と考えるなら、潔くいったん購入を見直す勇気も大切です。

その家族に合う、最適な住まいとお金の払いかたは、必ずあります。年収だけで安易に購入を考える前に、自分たちの生活をきちんと振り返ること。それは、明るい未来をつくるために必要なステップなのです。

コラムニストプロフィール

SHIHO

SHIHO

愛知県出身、34歳。おいしいものとインテリアが大好き。5歳と3歳の息子を育てながら、ママライターとして活躍中。夫は36歳、都内の某メーカーに勤務。現在は神奈川県某市で3LDKの賃貸マンションに居住。上の子どもが小学生になる前に、どこかに(できれば都内に)家を買いたいと考え、絶賛リサーチ中!

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